皆さんこんにちは!設計の森田です.
今回は試験飛行報告じゃないですよ.「設計者」が何をやっているのか,説明します.
えーと,なんだか某非公式ブログでは,僕のことは「残念」と紹介されているらしいのですが,今回は(ブログではいつもか)残念じゃない感じで行きます.
ということで,(…ガサゴソガサゴソ…)
もでるちぇーんじ!
…はい,モデルチェンジが完了しました.じゃあ,早速いきましょうか.
まず僕の立場ですが,様々な事情があって2012執行代の設計の作業をするとともに,2013執行代での設計をつとめます.
2012執行代では僕は主に尾翼周りの設計をし,試験飛行での運用等を担当しているのですが,今回はそれにはあまり触れず,2013執行代設計として現在の進行状況などを説明しようと思います.
まず,設計者とはなにか.それは飛行機,もっと言えばその人の飛行機に対する思想を「創る」人.
チームの柱である機体を磨き上げ,ある意味チーム全員の想いを創り上げた機体で受け止める人.ですから生半可な気持ちではできない役職です.
そうした,チームの想いを受け止めるためにも鳥人間コンテストのタイムトライアルに臨む設計者は,その機体が飛ぶこと,作れること,飛べること,漕げること,操縦できること,発進できること,曲がれること,帰ってこれること,優勝できることのすべてを保証しなければならないと思っています.
これをすれば絶対に飛べるというツールが手に入らない,以前に人力飛行機やその他大型の人が乗る飛行機を設計したことがない私が,唯一,客観的な視点を持って機体を設計する方法,それは「計算」
機体の状態から挙動まで,できる限り多くの情報を手に入れ,それを設計やパイロット,電装系等々にフィードバックすることが重要だと思うのです.
確かに,かっこいいと思う機体を作るという設計方法もあります.しかし,私は,自分の思想に沿い,それを目指して最適化された機体こそ美しく,そして格好いいと信じています.
さて,上につらつらと(だらだらと?)書いたことを実現するためには統合的な設計ソフトが不可欠でした.
そこで開発した(してる)のが…
「SkyScraper」(ロゴ募集中)
という設計ソフトです.octaveというMatLab系のフリーソフトの言語で書いています.そう,あの今はやりのoctaveです.(自分ではブームの火付け役だと勝手に考えてます.でも実はある偉大な設計者に紹介いただいてこのソフトの存在を知りました)
このソフトは元々「主翼空力設計を行うとともに主翼桁の桁径を最大化する」という目的のもと作り始めました.ですから名前の由来は「桁をscrapeする(無理矢理通す)」というところから来ています.
このソフトで行えること(つまり,今現在私が計算していること)は
- 主翼空力設計
- 主桁設計(径のみ)
- 揚力線理論による空力計算
- 材料設計(パラメタ設定による自動プライ設計)
- 設計条件以外での空力&材力計算
- 尾翼設計(水平尾翼は縦の短周期振動特性の観点から設計してます.横,ロールの振動特性も早く実装したい!)
- 上反角による最小旋回半径見積もり
- 3DCADデータ作成支援
です.あとで別にある(未完の)プロペラ設計プログラムも統合する予定です.以下ではざっと中身を見てみましょう.
1.主翼空力設計
あまりネタバレするのもアレなので(2012春の交流会資料でネタバレしてたりするのですが)計算結果のグラフの一部だけお見せしようかなーと.実を言うとこれで何をやっているのかだいたい分かります
(英語が残念なのは仕様です…)
このプログラムはXFLR5というフリーの翼型解析ソフトが出力した解析結果をそのまま用いることができますので,翼型の変更が容易です.実際,この主翼はfx76mp120とfx76mp160を混合して翼厚を調整した翼型と,eppler66という翼型を混ぜて使用しています.
他にもXFLR5の三次元解析が簡単にできるようにデータを整理する機能も付けてあります.
XFLR5の解析結果は,第三者的な解析結果として自分の計算の妥当性を考える上で非常に役に立ちます.
えっ,紙面の余裕がない?しょうがないなー もっと書きたいことはあるのですけど次回以降と言うことにして,もっとvisualでわかりやすいことを最後に書こうと思います.
それは8.3DCADデータ作成支援です.
その結果がこれ.大学で用いることができる3DCADで描いています.
主翼と垂直尾翼をこのソフトを用いてエクスポートしました.(フェアリングやプロペラ,水平尾翼は2012年度のです.でも水平尾翼はこの機体の計算値とほとんど同じです)主翼の複雑な翼型混合や捻り下げをしっかり表現しています.
一番好きなアングル(主翼のみ)
可愛いでしょ?可愛いでしょ?prp(自重
翼根のアップ.こんな感じで桁径を攻めます.あまり太さを感じないかもしれませんが約750mmの翼弦長で約φ104mmの桁を通しています.
もちろんこの美しい上反は材料計算の値を引っ張ってきて作っています.
この機能を付けたのは,設計者の自己満足のため機体が作れる物かどうか確認するためです.このソフトがあれば1時間かからず設計した主翼が3DCADで再現できるので,桁が入っていなかったり,逆に桁が細すぎたりといった設計ミスをvisualに捉えることができます.
さらに,機体のモーメントアームの感じなどを見ることができます.2012年度,機体三面図を書くのに本当に苦労したので,この機能は切望していました.
残りの機能などはまたの機会に紹介したいと思います.
(最後の方ではキャラが戻ってきた気がしますけど…)ではでは
テーパー費はどんなに決めましたか? 🙂